NET(神経内分泌腫瘍)とは

■膵臓の位置と区分

 

 膵臓は、胃の背中側にある長さ15㎝、幅3~5㎝、厚さ2㎝ほどの器官で、体の奥深く(腹部の背側)に位置します。

 膵臓は、周りを主要な臓器に囲まれ、胃・小腸・肝臓(かんぞう)・脾臓(ひぞう)、胆嚢(たんのう)などの臓器と密接に関連しています。


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 膵臓はピストル型をした小さな臓器で、以下の3つの部分に分かれています。

 ・膵臓の端の広い部分・・・・膵頭部 (すいとうぶ)

 ・ 〃   真ん中の部分・・・・膵体部 (すいたいぶ)

 ・ 〃   端の狭い部分・・・・膵尾部 (すいびぶ)

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■膵臓の2つの機能-内分泌機能と外分泌腫瘍


 膵臓は2つの主要な機能をもっています。

1つは、「外分泌機能」と呼ばれるもので、消化を助ける酵素を作る機能。

もう1つは、「内分泌機能」と呼ばれるもので、ホルモンの生成を行う機能です。


外分泌機能=消化液を作る機能

膵液(=消化液)を十二指腸に分泌して食べ物の消化吸収を促進します。

 ⇒消化酵素は膵臓の腺房細胞で産生

 ⇒脂肪や炭水化物、たんぱく質の消化を助けます。


 

内分泌機能=ホルモンを作る機能

膵臓のランゲルハンス島で血糖を調節するホルモンを作ります。

 ⇒インスリン体内の血糖値を下げる

 ⇒グルカゴン   〃   上げる。



■膵臓の細胞の組織


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■膵臓にある内分泌細胞の集まり-ランゲルハンス島


 ランゲルハンス島とは、膵臓(すいぞう)にある内分泌細胞(=ホルモンを分泌する細胞群)の集まりで、球状に小さな細胞の塊が膵臓全体に無数に島状をなして散在します。



■膵内分泌腫瘍の種類


ガストリノーマ(ゾジンジャー・エリソン症候群)

Gastrinoma(Zollinger-Ellison syndrome)

 ガストリノーマの主な症状は、再発性の消化性潰瘍(かいよう)、腹痛、下痢(げり)です。診断は、血中ガストリン値の上昇と画像診断によって行われます。この腫瘍は多発性内分泌腫瘍症1型(MEN(エムイーエヌ)1型)と呼ばれる遺伝的症候群の一部として発病することがあり、その場合は膵(すい)頭部(とうぶ)または十二指腸に多発性腫瘍が見つかります。ほとんどのガストリノーマは悪性と考えなければなりません。

 症状が軽いうちにスクリーニングを行ったり、病気に対する知識を高めることによって、ガストリノーマがまだ良性のうちの診断ができるようになってきています。


インスリノーマ

insulinoma

 インスリノーマは膵内分泌腫瘍の中で最も多い腫瘍です。90%のインスリノーマは良性で、悪性は10%ほどです。ひどい低血糖症状を起こし、眠たくなりやすい、手指が震える、意識がなくなる、などの発作を繰り返します。低血糖が起こると甘い物をよく食べるため、病気なのに太っている、ということが起こります。

 症状が強くても、腫瘍が小さく発見しにくいため、インスリノーマの人は長期間治療を受けられずにいることが多くあります。診断がつけば、ほとんどの場合、手術で完全に治ります。


グルカゴノーマ (グルカゴン産生腫瘍)

glucagonoma

 グルカゴノーマはほとんどの場合、膵体部(すいたいぶ)または膵(すい)尾部(びぶ)に発生します。大きくなって発見されることがほとんどで、すでに転移してから診断されることも多く、およそ70%はがんです。

 グルカゴノーマの症状は、ひどい皮膚(ひふ)発疹(はっしん)、糖尿病であり、うつ症状や混乱などの症状を伴うこともあります。そのほかに、貧血、体重減少、口内炎(こうないえん)、低アミノ酸血症(けつしょう)などがみられます。


ソマトスタチノーマ

somatostatinoma

 ソマトスタチノーマは膵臓のどこにでも発生します。膵管が十二指腸に入るところにあるファーター乳頭部にも発生する場合があります。

 他の膵内分泌腫瘍と同様に、がんになる可能性があります。切除しないでおくと他の臓器に転移する可能性があります。


VIP産生腫瘍(VIPオーマ、ヴェルナー・モリソン症候群)

Verner Morrison syndrome

 VIP産生腫瘍は、ほとんどが膵体部と膵尾部に発生します。ひどい水のような下痢が特徴的で、1日に10リットルもの下痢をすることがあり、その結果として大量のカリウム喪失(低カリウム血症)が起こります。

 主な症状である「水様性下痢(Water Diarrhea)」「低カリウム血症(Hypokalemia)」「無胃酸症(Achlorhydria)」の英語の頭文字をとってWDHA症候群と呼ぶこともあります。  VIP産生腫瘍の3分の2は女性に発生します。


多発性内分泌腫瘍症1型 (MEN1型)

(ウェルマー症候群)

Multiple Endocrine Neoplasia type 1

 多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)は遺伝性の疾患で、膵内分泌腫瘍、副甲状腺腫、下垂体腫瘍など、複数の臓器に腫瘍ができます。 多くは30~40代になってから、腫瘍から分泌されたホルモンの作用で、疲労感、筋力低下、筋肉痛、便秘、腎臓結石、骨が薄くなる、などの症状が現れてきます。膵臓の腫瘍は悪性の場合があります。


非機能性膵島細胞腫

Non-functioning Islet Cell Tumor of the Pancreas

 非機能性膵島細胞腫は、ホルモンの過剰産生や分泌をしないため、ホルモンが原因となるような臨床 症状はありません。そのため大きくなってから見つかることが多く、また発見されたときにはすでに他の臓器に転移していることがあります。

 非機能性腫瘍の多くは、がんです。